山口百恵は菩薩である

昔々の続編。
ワンシーン役者の私だがこの日は３シーンほどあった。
山口百恵「赤いシリーズ」のロケ。トルコ嬢役。
吉原のトルコ街かソープランド街での撮影。生まれて初めてトルコの内部に入る。
本物のトルコ嬢にマットの敷き方、石鹸の泡の立て方、男の体の洗い方など教わる。今後再びこのような場所に行くことはないであろうから、とても貴重な体験であり興味深かった。お姉さんもやさしかった。
昼だったので吉原の街は閑散としていた。灯っていないネオンがわびしかった。
夜になれば欲望丸出しの男どもが蛾のように群がるのだろう。
今、私は性的なことに一切興味はない。一生分を使い果たしてしまったか、そういう男が出現しないのか、歳をとったのか。トラックバックにアダルトな記事が張り付けられると鳥肌が立つ。即、削除。
ロケバスでの中で待機。百恵さまが「おはようございます」と登場する。後光が差している。少女なのに成熟した女の色気。気軽に衣装のスタッフや私と世間話をする。すれていない。すっぴんだから普通の女の子なのにオーラが違う。
撮影開始。百恵は本当の母を探してトルコを一軒一軒訪ね歩く。
吉原の路上。私とすれ違う。おどおどしながら写真を出し「こういう女のひとこの辺で見かけませんでしたか」と私に聞く。「こんな女見たことないねえ。ここはあんたみたいな小娘が来るところじゃないよ。さっさと消えな」私は冷たくいい、くちゃくちゃ噛んでたガムを百恵の足もとにペットはき出す。
これは私の演出。以前、二流の主演男優と共演をした時「勝手に一人で芝居してもらっちゃ困るな」と怒られた。偉そうに！
「はい、オーケーです」監督の声が飛ぶ。ほっとする。
百恵が私にだけ聞こえる小さな声で「こわい、いじめられちゃった」という。
わたし、そんなに凄みあったかなあ。
私にだってオーラはある。
なんだかその時百恵のオーラと私のオーラが一つになったような気がした。
二人だけ、柔らかい光に包まれた。
チョイ役の私に敬意を表している百恵の気持が届いた。
菩薩を見た。
今日みたいに北風が吹いて寒い日だった。

今は、子供たちに囲まれて、静かにパッチワークなどなさっているのだろうか。
リタイアしてもっといい女になっている百恵を思う。


●「山口百恵は菩薩である」平岡正明のタイトルお借りしました。

コメント 7

●来年1月、お芝居、見に行きます。
最近にない楽しみです。わくわく。
●ところで、百恵様にインタビューした方のお話によると、「引退し、普通の女の子に戻ったキャンディーズが芸能界に戻ってきたら敗北」とおっしゃったとか。
ううむ、さすがに百恵様。
でも、今は何と言うでしょうか。
そんな厳しいこと言わんでもええがなと、オヤジは思うのでした。
●百恵様のサイン、あったら見せてください（笑）。
by ジュンタ (2008-09-29 12:14) 

ジュンタ様
いつもコメントありがとうございます。
元気出ます。気持ちがしゃんとします。
現場では私、例えチョイ役でもそれなりたいまんはってますのでサインもらったことありません。
お見せできなくて残念です。
by NOBUCHAN (2008-09-29 12:52) 

おおっ、そうですよね。失礼しました。
それにしても、来年１月、楽しみです。
by ジュンタ (2008-09-29 13:27) 

百恵様のエピソードありがとうございます。
時間とは残酷なもので、ヒーローやヒロインの化けの皮をはいでしまうものなのに、百恵様は美しい思い出にどんどん包まれていくような気がします。
やっぱり菩薩なのでしょうか？
by タカ (2010-10-27 02:46) 

百恵チャンの世代の女性です。キャンディーズが「普通の女の子に戻ります」と言って芸能界を引退したと聞いた時に、トップスターの百恵ちゃんは「あら、私だって普通の女の子よ」と言ったのはとても有名な話です。　トップスターとしてゆるぎ無い地位にいた彼女の腰の低さは本とy驚きだったのを覚えています。　ちなみに、キャンディーズの芸能界を引退はただのグループ解散に過ぎませんでした。
by ジュンコ (2011-03-27 02:56) 

いよいよ来週月曜日からTBSチャンネルに山口百恵がかえってきます
by お名前（必須） (2011-09-24 13:45) 

カッコいい！興味をそそりますね(^m^)
by バーバリー アウトレット (2013-08-03 04:09)