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僕は・・・・

僕は今、運命に翻弄されている。僕に何が起きているのかよく分からない。
27日、いつものように大家さんのうちでゴロゴロしていたら、夕方本当の飼い主のマミが迎えにきた。
大家さんは「お別れね、マミのお家にお帰り」と優しく僕をぎゅっと抱いた。
マミが大家さんの家の外で待っていて、僕はマミに渡された。大家さんもマミもとても悲しそうだった。
大家さんが言った。「私がもう5歳若かったらね。このままさんちゃん飼って上げられるのにね。今は悲しいけど無理なのよね」マミが言った。「さんちゃんはここで自由に遊んで暮らしていたからマンション暮らしが耐えられるかどうか、でもこれからは部屋の中で一緒に暮らします」
そうして、マミのうちで何カ月ぶりかで眠ることになった。
大家さんのうちに戻りたかったけど、窓や扉は全部閉まっていて、僕は外に出られない。どうなってるんだ。なんか様子がおかしい。マミのうちは段ボールの山が出来ている。大きいごみ袋が何個も置いてある。なんか変だ。でもよく分からないけど、久し振りにマミのうちで寝た。
28日に朝が来た。僕は散歩に行きたかったけど全部閉まっていて、マミのごちゃごちゃの家の中にいるしかない。マミは必至で荷物を段ボールに詰めている。
お昼過ぎ、ピンポンが鳴った。やな予感がした。マミの娘の旦那がやってきた。
マミはいかにもさりげなさそうにしていたが、突然僕をネコのバスケットに詰め込んだ。
わ、やめてくれ!僕はうわーお、うわーおと必死で鳴いた。
ののちゃんとりりちゃんも一個づつバスケットに入れられた。
そうして外で待っている車に無理やり乗せられた。
どうなってるんだ。僕は、どこへ連れて行かれるんだ。
ののもりりもみんな、何が起きたのか分からなくて怖くてたまらなくて、わおわお鳴いている。
車がバタンと閉まって動き出した。どこへ連れて行かれるんだ。車は嫌いだ。ずっと鳴いていた。
3,40分走って、止まった。
マミと娘の旦那とで僕をどこかの家に運んでいるようだ。
階段を上がっている。たぶん2階だ。
ののとりリのバスケットも運ばれているようだ。
マミがやっと僕のバスケットを開けてくれた。
見たこともない風呂場だ。風呂場の中で、3匹の猫は解放された。
だけどこれ、ちっとも解放じゃない。
マミは洗い場に、トイレとカリカリとねこ缶のご飯と水を置いた。
「ごめんね、明日マミここに引っ越してくるからね。今日は3人でここに寝ててね」
と言って、急いで風呂場のドアを閉めて帰って行ってしまった。しーん。
何なんだ。さっぱり分からん。僕とののとりりは悲しい不安な気持ちで狭い風呂場に3人で固まって寝た。食欲なんかない。水も飲みたくない。だって本当によくわかんないんだもん。
なんでこんな狭い風呂場に3人で押し込められなきゃならないんだ。
朝が来た。しんとしている。不安は募る。僕もののもりりも不安でいっぱいだ。
風呂場から出られない。一生ここに閉じ込められてしまうのだろうか。しーん。
長い時間がたったような気がする。
4時頃、カチリと玄関の扉が開いた音がした。あ、マミだ。
思った瞬間、たくさんの足音がどかどかと部屋の中に入ってきた。
「この戸棚はここですか」「この本棚はあっちですか」「この段ボールはこっちの部屋でいいですか」
男の人たちが何人も部屋の中でなんかしている。僕にはさっぱり分からない。何しろ風呂場のドアは閉まったままなのだから。
2時間位して、急に静かになった。男の人たちは帰って行ったのか。
マミは?マミはいるの。
「ごめんね~さびしかったね~辛かったね~」マミだ。
風呂場のドアが開いた。
僕たちは一斉に外に出た。
段ボールの山。ぐちゃぐちゃの部屋。疲れ切ったマミの顔。
知らない家だ。
3人でうろうろ、匂いを嗅ぎまわる。段ボールの間を探検する。
荷物の匂いはマミの匂いだ。でも、うちは違う匂いだ。
「今日から4人でここで暮らそうね」マミが言った。
今日からここで暮らすの?大家さんはもういないの?外には出られないの?
僕は・・・・。
僕は・・・・。
仕方ないからマミのベッドで少し寝ることにした。

僕は・・・・。


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ワタナベ

あっ、連絡先、教えてくださいませ。
by ワタナベ (2009-10-03 11:15) 

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