おろおろと
おとといもその前の日も雨の中を濡れて歩いた。
グレーの帽子をかぶっていたがしっとり濡れた。冷たかった。寒かった。
その冷たさと寒さを私は欲していたのかもしれない。
死に急いでもいないし死を恐れてもいない。私は。
無念の死。
無念の民の死。
殺人。
国家の殺人。
には 泣かなかった私も泣かずにはおれない。
おろおろと泪を流す。
一列に土葬されるご遺体。
あの土には帰りたくなかろうに。
には 泣かなかった私も泣かずにはおれない。
おろおろと泪を流す。
寒すぎる春。雪降る春。
為すすべなく凍えた指を見つづける。
はしゃげ。笑え。じゃれろ。おどれ。
子どもらよ。
泣け。わめけ。すねろ。あばれろ。
子どもらよ。
頑張ろうニッポン。立ち上がれニッポン。
と みなが言う。 しかし わたしには空々しく嘘っぽく。
27000人の死者や行方不明者を想うとき絶望せずにはおれないのだ。
おろおろと泪を流す。こと。
しかできないのだ。
だからわたしは水道の水も飲みます。
雨の中 かさもささずに歩きます。
おろおろと。
2011-03-25 02:19
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