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あて先のない手紙

ごめんなさい。私毛皮のコート着ています。寒くて。他のコートじゃだめなんです。知ってます。友達が毛皮のコートを着ない運動をしていること。その仲間たち。実は私も賛成です。でも私が着ている毛皮のコート。昔演った一人芝居の衣装なんです。古着屋で衣装さんが買ってきました。もう一つは死んだ弟の形見です。道を歩いている時いちいち言いわけは出来ないし毛皮好きのおばさんに見えるでしょうけど。そうじゃないんです。毛皮を着ている時元の生きていた動物さんに私はいつもありがとうを言っています。私を寒さから守ってくれてありがとう。貴方を粗末にしません。大事に着ます。今私はあなたの命を頂いて貴方をなでながら着ています。だから許して下さい。捨てたりしません。絶対にゴミにしません。死んだあなたと私一つになっていることわかってください。貴方の命の分私生きますから。そして一緒に棺桶に入りましょう。大事に大事にしますから。ということを考えていたら昔で出会った不登校の子供たちや統合失調症のメンバーさん達のことを思い出した。今日一日頭から離れない。貴方達と必死で向き合って少しでも重なり合えたらと思っていたあの日たち。子どもたちはいつも暴れていたね。私の頭めがけて小豆入りのお手玉をテニスのラケットで思いっきりぶつけたね。私はよろけて壁に頭ぶつけて倒れたよ。笑ってざま見ろと言っていたね。給食の味噌汁に洋がらしのチューブ一本絞って入れたね。その時もニヤニヤしてたよね。私の車に傷つけたよね。図書館の脇でたばこ吸ってた。台所の窓から水攻めにしたよね。パソコンみんな壊したね。塀におマンこのマーク書いたよね。一人じゃ何にも出来ないのに二人以上集まるとやりたい放題だったね。草刈鎌持って乱入してきたこともあったね。分かってあげたかったよ。君たちのいら立ちを。持って行き場のない腹立ちを。でも何にも出来なかった。一人ひとりと話をするとみんないい子だったよ。お父さんお母さんにだいたい問題があったね。君たちは悪くないよ。今どうしているのかな。ジャニーズに入りたいって言ってた子もいたよね。全然勉強してなかったからカタカナでジャニーズって書けなかったけどね。中学出たら板前の修業を住み込みでやると言ってた子もいたね。お誕生会にはケーキ作ってくれたよね。ちびちゃんだったから競馬の騎手になりたいって言ってた子もいたね。みんな~どうしてる。私は教育委員会に雇われていたから君たちからしたら上から目線のおばさんに見えてたのかもしれないけどみ~んな大好きだったんだよ。薬だけには手出すなよ。手出さないでやりたいことやってる青年になっていることを心から祈っているよ。
私を刺そうとナイフを持ってたデイケアの彼。いつも妄想で妊娠していた彼女。貴方の雨にも負けずは最高だった。目立ちたがり屋で私が担当していた演劇クラブ皆勤の彼女。薬のせいで呂列は回ってなかったけど一生懸命だったね。私がデイケアを去る時シャコバサボテンをくれた恋愛転移の彼。まだうちで咲いてるよ。大橋巨泉と萩原健一がこんなとこにいないで喫茶店にかわいいねえちゃんを見に行けという幻聴でいつもさぼってた彼氏。かわい子ちゃんは見つかったかな。
み~んな大好きだよ。
あなたたちには二度と会うことはないんだね。
でもみんなにたくさんのありがとうを私は今言いたいんだ。
元気でいて下さい。
ありがとう。


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