夜明け前

今本当にやりたいことをやればいいんだ。ただ。伝説だろうが過去だろうがそんなものは全部捨ててしまえばいいんだ。散らかしっぱなしでやりっぱなしで先に進めばいいんだ。何にも要らない。ほんとに何にも要らない。音のしない時計のように音も立てずに進んだのか止まっているのかもわからない。でもたぶん進むから進もう。変に色気なんか出すとめんどくさいことになるのさ。かかわると面倒くさいことになるのさ。この体一つで生きてきたんだからこの体一つで生きてこの体一つで死ぬのさ。食べたくなったら食べればいいし眠たくなったら寝ればよい。書きたくなったら書くし唄いたくなったら唄うし弾きたくなったら弾くし。突然に洪水のように訪れることもあればなにも来ない時もある。どっちでもいいのさ。淡々とも粛々ともそう思った時にはそうすればいいし急ぎたいときには急げばいいしゾウガメのようにゆっくり歩きたいときもある。ただそのことを見ておこう。はっきりと見ておこう。と思う。かっこいいのも無様なのも笑っているのも怒っているのも笑われているのも怒られているのも好いている人がいるのも嫌いな人がいるのも何もかも見ておこう。と思う。寒い夏も暑い冬も心の現象も体の現象も。減少も増大も。世界と関わることも関わらないことも。封筒を開けたり開けなかったり。電話に出たりでなかったり。生きることが難しかったりもっと死ぬことが難しかったり。些細なことで怒りだす人をじっと見ている。分からないから見る。私には些細なことでも些細でない人もいる。だから見る。どうしたいのかそんなことちっともわからない。眠りたいのか起きていたいのかそれさえもよくわからない夜明け前。