おめでとう
無数の蟻の大群がせわしなく歩いている。
無数のバッファローが激流の大河に飛び込み、向こう岸を目指す。
無数のフラミンゴが踊りを踊っている。
無数の像が子供を守りながら、水場を目指す。
地球は青かった。
俯瞰で宇宙から見る地球は、さぞ青いのだろう。
しかし、私の足もとには、無数の生命体がうごめいている。
海の中も命でいっぱいだ。
命の星。地球。
無数の人間どもが、スクランブル交差点を渡る。
方向はバラバラだ。
無数の人間どもが満員電車の中で、沈黙の中でどこかに輸送されていく。
携帯電話と、耳にはイヤホーン。
無数の人間どもが、酒をあおる。
あるものは朝から。あるものは夜明けまで。
地球は青かった。
宇宙から見る、地球上の生命体に、いかほどの差異があるのか。
何億年の時の中で、ひたすら生きて、ひたすら土に帰る。
ひたすら生きて、土に帰る。
蟻と私の違いはどこにある。
コアラと私の違いはどこにある。
生きて死ぬ。
生きて死ぬ。
不思議な星だ。
無数の死骸を積載して、宇宙に浮かぶ。
神は、いるか。
蟻にも、ナメクジにも、ネズミにも、ライオンにも、クジラにも、カラスにも、イワシにも、マグロにも、シマウマにも、怠け者にも、あざらしにも、うさぎにも、げじげじにも、ヒトデにも、マンボウにも、ごきぶりにも、ハトにも、ナマズにも、ミミズにも、ヒルにも、芋虫にも、ダニにも、のみにも、ハイエナにも、あらゆる生きているものたちに。
神はいるのか。
ただ皆、土に帰るのだよ。
もうすぐ私も土に帰る。
あ、離人感。
あ、誕生日。
土に帰るために、また一つ歳を重ねる。
無数の死者の土へ、私は帰るのだ。
おめでとう。
2009-04-29 22:57
nice!(0)
コメント(2)
トラックバック(0)
死ぬまでは生きていましょうか、元気で。
by ワタナベ (2009-04-30 11:00)
生きます。生きます。
by NOBUCHAN (2009-04-30 12:42)